不動産失敗・注意点

物件の掲載終了、不要なメール、契約前の重要な説明をオンラインで行うときに気をつけること

契約済み・入居済みの物件広告が長期間残った事例と、顧客へ何度もメールを送り停止を求められた経験を説明します。あわせて、契約前に物件や取引条件を説明する手続きをオンラインで行う条件と、契約書類などを電子ファイルで渡す条件も説明します。内容ごとに、根拠となる資料を分けて示します。

執筆:株式会社Walkers編集部

システムを入れても、契約済み物件の広告や、顧客が止めてほしいと伝えたメールが、自動で必ず止まるわけではありません。オンラインで重要事項を説明する場合も、映像や音声に問題があれば続けられません。

この記事では、実際に違反として公表された内容、導入企業の担当者が取材で話した経験、国土交通省が定めた手順を分けて説明します。何が実際に起きたのか、何を自社で決める必要があるのかを混ぜずに確認できます。

システム任せにせず、誰が確認するか、いつ確認するか、どのような状態なら作業を止めるかを先に決めます。

この記事のポイント

注意点は3つです。

募集が終わった物件の広告を消すこと、停止を求めた顧客へメールを送らないこと、契約前に物件や取引条件を説明する手続きをオンラインで行えない場合や、契約書類を電子ファイルで渡せない場合に別の方法へ切り替えることです。

広告が残った原因は公表されていません。

  • 契約済み・入居済み物件の広告が残った事例はあるが、なぜ広告が残ったかは公表されていない
  • 顧客がメールを開いたか、返信したか分からないまま何度も送ると、不要な連絡として受け取られることがある
  • 契約前に物件や取引条件を説明する手続きをオンラインで行うことと、契約書類などを電子ファイルで渡すことは別の手続き。顧客が中止を希望した場合や問題が解消しない場合は中止し、対面説明や紙の書類へ切り替えられる
根拠となる参考資料を見る

違反として公表された事例:契約済み・入居済み物件の広告が残っていた

不動産広告のルールを扱う首都圏不動産公正取引協議会は2026年6月、賃貸住宅6件の広告が、契約済みまたは入居済みとなった後も残っていたと公表しました。掲載期間は、短いものでも6か月以上、長いものは1年4か月以上でした。協議会は事業者にルール違反の違約金を科しましたが、広告が残った原因は公表していません。[1]

導入企業が取材で話した経験:メールを止めてほしいと言われた

神戸市周辺で不動産事業を行う株式会社LifeStyleの担当者は、イタンジが掲載した導入事例で、導入前はメールソフトのOutlookと紙で顧客を管理していたと説明しています。顧客がメールを開いたか分からないまま何度も送り、『もうメールを送らないでください』と返されたことがあったそうです。これは法令違反として公表された事例ではなく、導入企業の担当者が取材で話した経験です。[3]

契約前の重要な説明をオンラインで行うことと、契約書類を電子ファイルで渡すことは別の手続き

契約前に宅地建物取引士が、物件や契約の重要な内容を顧客へ説明する手続きを『重要事項説明』といいます。これを映像と音声を使ってオンラインで行う方法を、一般に『IT重説』と呼びます。[4]

ここでいう『書面の電子提供』とは、契約前に渡す重要事項説明書(35条書面)や、契約成立後に渡す契約内容の書面(37条書面)などを、紙ではなく電子ファイルで渡すことです。[4]

オンラインでの説明と書面の電子提供は、片方だけを使うこともできます。ここでは、説明や書類を受け取る人を『顧客』と呼びます。顧客が中止を希望した場合や問題を解消できない場合は中止し、対面での説明や紙の書類へ切り替えられます。[4]

契約前の説明をオンラインで行う手続きと、書面の電子提供の違い

表は横にスクロールして確認できます。

手続き始める前説明中・電子ファイルを送るとき中止する場合
契約前に物件・契約条件をオンラインで説明する手続き(重要事項説明/IT重説)[4]顧客がオンラインでの説明を希望しているか、双方が映像と音声を送受信できるか、説明前に重要事項説明書を受け取っているかを確認双方の映像・音声、顧客の手元に重要事項説明書と添付書類があること、顧客が宅地建物取引士証を画面で確認できること、その場で質問と回答ができることを確認顧客が中止を希望した場合、または映像や音声の不具合を直せない場合は中止。顧客と不動産会社の双方が希望する場合は、残りを対面で説明できる
契約書類などの電子提供[4]顧客のスマートフォンやパソコンで電子ファイルを開けるか確認する。どの書類を、メールや専用サイトなどどの方法で、PDFなどどの形式で渡すかを説明し、顧客の同意を得る①同意を得た方法・形式で送る。②すでに顧客が開いて読めた場合や、USBメモリーなどを対面で手渡す場合を除き、書類を送ったことを知らせる。③書類が届いて読めるか、文字化け・文字欠けがないかを顧客に確認してもらう顧客が電子ファイルでの受け取りを断った場合、またはファイルが届かない・開けない問題を直せない場合は中止。取引を続ける場合は紙の書類へ切り替えられる

参考資料

本記事の事実、制度、製品の機能や料金、導入事例は、各参考資料に表示した「確認日」時点の公開情報に基づいています。 内容は変わることがあります。記事で紹介した制度や製品を実際に使う際は、最新の法令、ガイドライン、各社の公式情報をご確認ください。

  1. [1]
    契約済み・入居済み物件の広告掲載に関する2026年6月度の措置公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会/確認日 2026.08.27
  2. [2]
  3. [3]
    株式会社LifeStyle 導入事例イタンジ株式会社/確認日 2026.08.27
  4. [4]

次に読む

業務改善

物件への問い合わせを受けたら何をする?受付から来店・連絡を止めてほしいと言われたときまでの6段階

CONSULTATION

広告を消す手順、不要なメールを止める手順、契約前の説明をオンラインで行う手順を確認しませんか?

利用中の物件掲載サイト、募集終了をどこへ記録するか、メール停止の希望をどこへ残すか、契約前の説明をオンラインで行う手続きと書面の電子提供をどう進めるかを分けて伺います。法律や国土交通省が定めた手順と、自社で決める作業を混ぜずに整理します。

広告・メール・オンラインでの契約前説明の手順を相談する不動産の業界ガイドへ戻る