MVP開発とは「最小限の機能の製品(Minimum Viable Product)を作り市場に投入してユーザーからのフィードバックを得ることで、ニーズに合わせて改善を行う開発手法」です。
最近ではノーコードによるMVP開発が主流となっており、そちらを利用することで50%以上の費用削減と期間短縮を実現できます。
本記事では、MVP開発の基本概念からそのメリット・デメリット、実際の活用例から手順、成功させるためのポイントまで解説します。
この記事を読むだけでMVP開発の基本について完全理解できますので、ぜひ最後までご覧ください。
Walkersでは「MVP開発ノウハウがない」「最大限に効率よく開発を進めたい」企業さまに、事業を成功に導くノーコードを用いたMVP開発支援を行っています。⇒ノーコードによるMVP開発支援サービスの概要はこちら
本記事の内容は下記のYouTube動画でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
執筆者:山口 鳳汰
ノーコード開発専門メディア「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。
その他、受託開発や教育など多数のノーコード事業に参画している。
運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
マーケティングやUI/UXと掛け合わせたサービス開発を得意としている。
執筆者:山口 鳳汰
「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。
運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
これまでに300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
MVP開発とは
MVP開発とは「最小限の機能の製品(Minimum Viable Product)を作り市場に投入してユーザーからのフィードバックを得ることで、ニーズに合わせて改善を行う開発手法」です。
MVP開発の目的は、市場での需要や仮説を早期に検証し、無駄なリソースを最小限に抑えつつ、効果的なプロダクト開発を実現することです。このアプローチは、リスクを最小限に抑えながらも、迅速に市場投入が可能な点が特徴です。
MVP開発は特にスタートアップ企業や新規事業において重視される手法で、ユーザーのニーズに合致する製品を素早く検証するために利用されます。
多くの場合、完璧なプロダクトを作るよりも、まずは最低限の価値を提供できる製品を市場に出すことが重要とされ、その後の改善や追加機能の実装はユーザーの反応に基づいて行われます。
ノーコードによるMVP開発が主流となっている
ノーコード開発とは「コードを書かずともホームページやアプリ開発ができる画期的なサービス」のことを言います。
ノーコードによってMVPを開発すると、下記3つのメリットがあります。
- 開発費用を50%以上削減
- 開発期間を50%以上短縮
- 高度な機能を実装したアプリの開発
そのためMVP開発をする際は、コストを削減できるノーコード開発を検討するのがおすすめです。
»関連記事:【完全解説】ノーコードとは?デメリットや限界、アプリ事例まで徹底解説!
MVP開発とアジャイル開発の違い
MVP開発とアジャイル開発は共に迅速な市場投入を目指しますが、それぞれのアプローチには焦点が異なります。
MVP開発は、最小限の機能で製品の市場適合性を検証し、早期にユーザーからのフィードバックを収集することが主目的です。
一方、アジャイル開発は、開発を小さく分割して段階的にプロダクトを改善する手法です。
MVP開発は、「まずは早く市場に出す」ことを最優先し、リリース後に得たフィードバックを元に、プロダクトをどんどん改良していきます。一方でアジャイル開発は、計画的かつ段階的に進行するため、機能追加や品質向上を繰り返しながら最終的なプロダクトを作り上げることを重視します。両者は補完的な関係にあり、アジャイル開発の中でMVP開発の考え方を取り入れることもあります。
MVP開発の4つのメリット
【メリット①】プロダクトのニーズを検証できる
MVP開発では、最小限の機能で製品をリリースするため、市場のニーズに対する検証が早期に可能です。実際にユーザーが製品を使用することで、ユーザーの反応やフィードバックをリアルタイムで収集できます。このフィードバックをもとに、必要な機能の追加や調整を行い、製品が市場で成功する確率を高めることができます。
特に、仮説段階でしか想定できなかった顧客の行動や反応を実際のデータとして集めることができるため、より確実な判断材料を得ることが可能です。MVPを通じてユーザーの真のニーズや問題点が明らかになることで、プロダクトの方向性を見直すきっかけにもなります。
【メリット②】早期に市場にプロダクトをリリースできる
MVP開発のアプローチでは、フル機能の製品を完成させる前に市場にリリースします。これにより、開発スピードを上げることができ、競合他社に先駆けてプロダクトを公開することが可能です。
早期にリリースすることで、市場からのフィードバックを基に次の開発フェーズでの改善ができ、製品の競争力を高めるための戦略的なリードタイムを得られます。
また、早期のリリースによって、マーケットシェアの獲得も有利に進めることができます。市場に存在しないサービスや製品を早めにリリースすることで、先発優位性(First-Mover Advantage)を活かし、認知度の向上にも繋がります。
【メリット③】開発コストを最小限に抑えられる
最小限の機能に絞って開発を行うことで、開発コストを大幅に抑えることができます。フル機能のプロダクトを作る場合に比べて、リソースの投入が少なく済むため、コスト削減が可能です。さらに、開発段階でのフィードバックをもとに必要な部分だけを改善していくため、無駄な機能にコストをかけるリスクが少なく、効果的に予算を活用できます。
コストを抑えることができるということは、失敗してもやり直しが効く、という柔軟性にも繋がります。たとえ最初のリリースが期待通りでなかった場合でも、少ないリソースで早めに次の改善策に取り組むことができます。このサイクルを早く回すことで、結果的に成功の可能性が高まります。
【メリット④】失敗するリスクを最小限に抑えられる
市場のニーズに合わないプロダクトをフル開発してリリースすることは、大きなリスクを伴います。MVP開発では、最小限の機能で早期に市場投入し、ニーズを確かめることができるため、大きな損失を避けることができます。また、ユーザーからのフィードバックに基づいて改善を行うため、開発プロセス自体がリスク管理の一環となり、プロダクトの成功率を高めることができます。
さらに、早期に失敗を経験することができる点も重要です。市場からの反応が想定外であった場合でも、開発コストが少ない段階でピボット(方針転換)することができるため、事業全体としてのダメージを最小限に抑えることが可能です。この小さく失敗し、大きく成功するためのアプローチこそ、MVP開発の最大の強みです。
MVP開発の2つのデメリット・注意点
【デメリット①】大規模・複雑な開発にはできないことがある
MVP開発は小規模でシンプルなプロダクトに向いていますが、複雑なシステムや大規模なプロジェクトには適さないことがあります。全ての機能を実装する前に市場に投入するため、特定の機能に依存するプロダクトでは不十分な場合があります。
特に、システム全体が連携し、複数の機能が相互に依存するようなプロジェクトでは、MVP開発だけでは市場での価値を十分に発揮できない可能性があります。
【デメリット②】方針転換(ピボット)に臆さないメンタルがないと失敗する
MVP開発では市場からのフィードバックを基に素早く改善や方針転換を行います。この過程で、ピボットが必要になることが少なくありません。
ピボットには勇気と決断が必要です。最初の仮説が間違っていたと気づいた時点で、迅速に別の仮説に切り替える判断力がなければ、無駄なリソースを費やしてしまうリスクがあります。そのため、MVP開発においては柔軟なメンタルと変更に迅速に対応できるチーム体制が求められます。
MVP開発の7つの種類
【種類①】プロトタイプ
プロトタイプは、最小限の機能やデザインを試作した段階でユーザーに提供する方法です。ユーザーが実際に試してみることで、製品のニーズを評価します。簡易的な開発で早期にフィードバックを得ることができるため、迅速な改善に役立ちます。
弊社が運営しているAIサービス「Prompt Lab」も、ノーコード開発と呼ばれるコードを書かない開発によって3週間で開発し、迅速にリリースしました。AIなどのトレンドが早いプロダクトでは特に利用されることが多い手法となっています。
プロンプトのデータベースサイト「PromptLab 」リリースしました❗️❗️❗️🎉
— つかさ@ノーコード開発✖️AI駆動開発 (@tsukasa_hiraga) April 13, 2023
精度の高いプロンプトを集めてサービス開発をプロンプトの組み合わせだけで行える世界観を目指します🎉🎉🎉
ちなみに構想から開発まで3週間です。ノーコードのポテンシャル(と弊社のエンジニア)恐るべし😇 pic.twitter.com/eget8dlQCg
【種類②】LP(ランディングページ)
ランディングページ(LP)は、製品やサービスの概要を紹介するためのWebページです。製品を開発する前に、LPを使ってユーザーの関心度を測り、需要があるかどうかを検証します。簡単に作成できるため、テストやマーケティングの第一段階として非常に有効です。
弊社でもよくお客様にLP1枚でもMVP開発を提案させていただいております。
本当のMVPはLP一枚で事足りる。弊社はシステム開発会社だけど事業アイデアが明確に固まり切ってないお客様には単価の高いシステム開発は売らずに、あえてLP制作の提案から行う。LPで見込み顧客を5人集めてからシステム開発しても遅くはない。今週だけで2件、そのパターンがあった。
— つかさ@ノーコード開発✖️AI駆動開発 (@tsukasa_hiraga) June 26, 2024
また最近では、以下の手順でMVP開発を行うことも増えています。
- サービスのリリース前にLPを公開
- ニーズを確認してからノーコード開発で最速リリース
- リリースしてからサービスの質を上げていく
»関連記事:爆速でニーズ把握&連続プロダクトリリースをした事業立ち上げ方法
【種類③】コンビネーション
コンビネーションとは、既存のサービスや製品を組み合わせて新しい価値を創出する手法です。この方法の主な利点は、開発コストと時間の削減、柔軟な機能拡張、そして迅速な市場検証が可能になることです。
例えば、スケジュール管理サービスと地図サービスを組み合わせて、タスクと行き先を一元管理するアプリを作成できます。ただし、UIの統一性や外部サービスへの依存といった課題もあります。コンビネーションは、MVPの「必要最小限の機能で価値を提供する」という理念に合致し、効果的な開発アプローチとして活用されています。
弊社ではよくWordPressと公式LINEとSlackの組み合わせで、MVP開発を行っています。
ぶっちゃけWordPressと公式LINEとSlackの組み合わせで、かなりの数の新規事業のプロトタイプは作れるんじゃないかと思ってる。それできつそうならBubble。
— つかさ@ノーコード開発✖️AI駆動開発 (@tsukasa_hiraga) May 28, 2024
【種類④】スモークテスト
スモークテストは、製品開発前に市場の反応を検証する手法です。具体的には、まだ存在しない製品の広告や動画などを作成し、ユーザーの反応を分析します。これにより、低コストで迅速に製品アイデアの妥当性を確認できます。
Dropboxの事例では、製品紹介ビデオの公開により短期間で多数のユーザーを獲得し、市場需要を確認しました。スモークテストは、開発リスクを最小限に抑えつつ、効率的に市場ニーズを把握できる重要なツールです。
【種類⑤】モックアップ
モックアップは、最小限の機能を持つ製品の初期デザインを視覚化したものです。アイデアの具現化、早期フィードバックの獲得、コスト削減に役立ちます。
特徴として、核となる機能のみに焦点を当て、迅速に作成でき、柔軟に修正可能です。ワイヤーフレームから始め、必要な素材を準備し、デザインツールを活用して効率的に作成します。ユーザビリティを重視し、フィードバックを反映させることで、ユーザーニーズに合った製品開発を効率的に進められます。
【種類⑥】オズの魔法使い
オズの魔法使いは、完全に機能するシステムを構築する前に、人力で裏側の処理を行う手法です。ユーザーには自動化されたサービスのように見せかけながら、実際は人間が手作業で対応します。これにより、低コストかつ短期間で製品アイデアの検証が可能になります。
有名な例としては、Zapposが初期に注文を受けた後、創業者自らが実店舗で靴を購入し発送していたケースがあります。この方法は、システム開発のリスクを抑えつつ、ユーザーニーズを直接確認できる効果的なMVP手法です。
【種類⑦】コンシェルジュ
コンシェルジュとは、人力で製品やサービスの価値を検証する手法です。サイトや製品を用意せずに、開発者が直接ユーザーと対話し、意見を収集します。低コストで正確な検証結果が得られる一方、スケーラビリティに制限があります。
Airbnbの写真撮影サービス導入時の事例が有名で、創業者自らが写真家となってホストの家を撮影し、予約数の増加を確認しました。顧客の声を直接聞き、即座にフィードバックを得られる点が大きな特徴です。
MVP開発の流れ/手順を8ステップで解説
【手順①】仮説・目的を設定する
まず、プロダクトの目的と仮説を明確に設定します。これにより、開発の方向性が定まり、目標達成に向けた具体的なアクションが取れます。仮説を基に、どのようなユーザーに向けた製品であるか、どの問題を解決するのかを洗い出しましょう。
【手順②】必要最低限の機能を絞り込む
次に、最小限の機能をリストアップし、開発リソースを効率的に使います。この段階で、優先度の高い機能を選び、それ以外は後回しにすることで迅速なリリースが可能です。市場投入後に必要であれば追加の機能を実装する、という柔軟な計画が求められます。
【手順③】仮説の検証方法を策定する
仮説を証明するための具体的な検証方法を策定します。例えば、ユーザーアンケートや使用データの分析など、定量的・定性的な方法を取り入れることが効果的です。検証方法が明確であれば、結果をもとに適切な改善が行いやすくなります。
【手順④】MVPを開発する
上記の手順に基づいて、実際にMVPを開発します。最小限の機能でユーザーに価値を提供できる製品を作り、早期に市場にリリースすることを目指します。この段階では、機能の完成度よりもスピードを重視します。
【手順⑤】市場にリリースしユーザーからのフィードバックを得る
MVPを市場に投入し、ユーザーからのフィードバックを収集します。このフィードバックが、今後の開発方針を決めるための重要なデータとなります。特に、ユーザーがどのように製品を使っているかを観察し、期待していた効果が出ているかを検証します。
【手順⑥】フィードバックを分析する
収集したフィードバックを分析し、プロダクトに必要な改善点を特定します。これにより、次の開発フェーズでの優先事項を決定することができます。また、仮説が正しいかどうかの検証を行い、必要であれば方針の見直しを行います。
【手順⑦】分析内容をもとに改善する
フィードバックの分析結果を基に、プロダクトの改良を行います。機能追加やデザイン変更など、ユーザーのニーズに応じた最適な改善策を実施します。改善のプロセスは迅速かつ効果的に行うことで、競合他社に対する優位性を保ちます。
【手順⑧】繰り返してプロダクトをより良いものにしていく
フィードバックと改善を繰り返すことで、プロダクトはよりユーザーのニーズに適したものになっていきます。この反復プロセスがMVP開発の成功の鍵です。常にユーザーの声を反映させ、最適なプロダクトを目指しましょう。
MVP開発を成功させるための4つのポイント
【ポイント①】ニーズ検証だけに集中する
初期段階では、すべての機能を網羅することよりも、ユーザーのニーズを検証することに集中することが重要です。これにより、無駄な開発コストを抑え、必要な改善を迅速に行えます。初期の段階でしっかりとユーザーニーズを把握することで、将来的な方向性のずれを防ぎます。
【ポイント②】フィードバックを得られる仕組みを整備する
フィードバックを効率的に収集できる体制を整えておくことが大切です。アンケートや使用データの解析ツールなどを活用し、ユーザーの声を取り入れる仕組みを構築しましょう。これにより、開発の方向性を明確にし、迅速な対応が可能になります。ユーザーが使いやすい環境を整備することが、フィードバックの質と量を向上させる鍵です。
【ポイント③】作って満足しないようにする
MVP開発は完成がゴールではなく、改善を続けることが重要です。リリース後も継続的にフィードバックを収集し、改善を繰り返す意識を持ちましょう。市場の状況や顧客のニーズは常に変化しているため、それに合わせてプロダクトを進化させ続けることが、成功のための戦略となります。
【ポイント④】最小限のリソースで試行回数を増やすことを重視する
MVP開発では、最小限のリソースで開発を行い、フィードバックを基に多くの試行を行うことが重要です。リソースを効率的に活用し、迅速にテストと改善を繰り返すことで、プロダクトの品質を高めましょう。
試行回数を増やすことで、失敗のリスクを分散し、学習効果を最大化することができます。これにより、プロダクトの市場適合性が大幅に向上します。
Walkersでは成果が実証されたノウハウをもとに、事業を成功に導くためのMVP開発支援を行っています。ノーコードでも従来のコード開発でも支援を行っているので、ぜひお気軽にご相談下さい。