アプリの運用保守とは?費用相場から安くする方法まで完全解説

本記事では、アプリの運用保守の概要から費用相場、さらに安くする方法まで徹底的に解説します。この記事を読むことで、アプリ開発の運用保守について完全理解できるため、ぜひ最後までご覧ください。

Walkersでは「開発ノウハウがない」「最大限に効率よく開発を進めたい」企業さまに、事業を成功に導くアプリ開発支援を行っています。⇒アプリ開発支援サービスの概要はこちら


執筆者:山口 鳳汰
 

執筆者:山口 鳳汰
ノーコード開発専門メディア「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。

その他、受託開発や教育など多数のノーコード事業に参画している。

運営会社:株式会社Walkers

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
マーケティングやUI/UXと掛け合わせたサービス開発を得意としている。

執筆者:山口 鳳汰

執筆者:山口 鳳汰
「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。

運営会社:株式会社Walkers

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
これまでに300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。

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アプリ公開後に必要な「運用」と「保守」とは?

アプリの公開後には、日常的な「運用」と技術的な「保守」が必要になります。これらをしっかり行うことで、アプリの品質を維持し、ユーザーに安定したサービスを提供できます。

運用とは「アプリを安定的に稼働させるために行う日常的な管理業務

運用とは「アプリを安定的に稼働させるために行う日常的な管理業務」のことを指します。具体的な運用内容には、次のようなものがあります。

  • パフォーマンスの監視:サーバーの負荷やアプリの応答速度を定期的に確認し、問題が発生した場合には迅速に対応します。パフォーマンスの低下は、ユーザーがアプリを使い続けることに影響を与えるため、重要なポイントとなっています。
  • コンテンツの更新:たとえば、ニュースアプリであれば最新情報を追加したり、ECアプリなら新商品の情報を更新するなどの業務を指します。

運用の目的は、ユーザーにとって快適で魅力的な体験を提供し続けることです。日々の小さな改善や管理が、長期的にはユーザー数の増加や継続利用に繋がります。

保守とは「アプリの技術的な安定性とセキュリティを確保するためのメンテナンス」

保守とは「アプリの技術的な安定性とセキュリティを確保するためのメンテナンス」を指します。具体的には、以下のような作業が含まれます。

  • バグの修正:アプリには想定外の動作やエラーが発生することがあります。バグを修正しないまま放置すると、ユーザーの離脱やアプリ評価の低下につながります。
  • セキュリティ対策:アプリが外部からの攻撃や不正アクセスを防げるように、定期的なセキュリティアップデートが必要です。セキュリティが脆弱なままだと、ユーザーの個人情報が流出するリスクが高まります。
  • OSのアップデート対応:iOSやAndroidのOSが更新されると、古いバージョンのアプリが正常に動作しない場合があります。そのため、新しいOSに合わせてアプリのコードを調整する必要があります。

保守の目的は、アプリの安定性と信頼性を維持し長期間にわたって問題なく動作させることです。技術的なトラブルが起こらないようにすることで、ユーザーが安心してアプリを利用できます。

運用保守の費用相場は「開発費用の15%前後」

アプリの運用・保守費用は、アプリの規模、複雑さ、提供されるサービスの内容によって大きく変動するため、一概に決まった額を提示することはできませんが、一般的な目安として「開発費用の約15%前後」とされています。

具体的な例を挙げると、もしアプリの開発費用が1000万円の場合、そのアプリの年間の運用・保守費用としては、おおよそ150万円程度が見込まれることになります。

運用保守にかかる8つの費用一覧!

運用保守にかかる8つの費用

【項目①】サーバーのレンタル費用

アプリを運用し続けるための必須コストとして、サーバー利用料があります。このサーバー利用料は、ユーザー数や機能、データ量など、アプリの規模に応じて変動します。

コストを抑えるためには、安価なサーバーを選択することが考えられます。しかし、性能や耐久性を軽視して費用のみを重視すると、アプリ運用上の問題につながる可能性があります。

例えば、大規模なマーケティング施策によりアクセスが急増した場合、低性能なサーバーではユーザーの接続が制限されたり、サービスダウンするリスクがあります。アプリの安定稼働と、ユーザー体験の確保は重要な要素です。単にコスト削減だけでなく、パフォーマンスや信頼性など、アプリの品質面も考慮して、最適なサーバー環境を選択する必要があります。

適切なサーバー設計を行えば、サービスダウンやユーザートラブルを回避し、ユーザーの信頼を維持できるでしょう。一方で、アプリの利用者が増加すれば、サーバー利用料も増加していきます。当初はコストを抑えられる小規模なサーバーでも、ユーザー拡大に合わせて適切な増強が必要となってきます。

【項目②】ドメイン代

ドメインは、アプリに関連するWebサイトのために必要なインターネット上の住所です。ドメイン費用は、一般的には年間更新制で、ドメインの種類や希少性によって価格が変動します。

  • 一般的なドメイン(例:.com、.net):年間1,000〜3,000円。
  • 特殊なドメイン(例:.app、.shop):年間5,000円〜10,000円。人気の高いドメインや、特定のキーワードを含むドメインはさらに高額になることもあります。

また、ドメインを複数取得する場合、その分の費用も追加で発生します。

【項目③】SSL証明書代

SSL証明書は、ユーザーとサーバー間の通信を暗号化するために必要です。特に、個人情報や決済情報を扱うアプリではSSLは必須です。SSL証明書には、無料のものと有料のものがあります。

  • 無料SSL:Let’s Encryptなどのサービスで無料で提供されているSSLです。
  • 有料SSL:基本的な認証であれば年間1-6万円程度で提供されているSSLです。有料のSSLを利用することで、SSLの導入時に何かトラブルが発生した場合でもサポートに問い合わせが可能です。

SSL証明書は通常、1年ごとに更新が必要で、更新のたびに費用が発生します。

【項目④】アプリストア登録代

アプリをApp StoreやGoogle Playに公開するためには、プラットフォームへの登録が必要です。各プラットフォームの登録代は以下の通りです。

プラットフォームストア登録料アプリ内課金手数料
iOS(App Store)年間99ドル(約15,000円)課金額の15〜30%
Android(Google Play)初回25ドル(約3750円)課金額の15〜30%
※1ドル150円で換算

これらの費用を支払うことで、アプリをユーザーに届けるための基盤が整います。特にiOSアプリは毎年更新が必要なので、長期的にはそれなりのコストがかかります。

【項目⑤】OSアップデートへの対応費用

iOSやAndroidは定期的にOSをアップデートしますが、そのたびにアプリ側も対応が必要になる場合があります。新しいOSに対応しないと、アプリが動作しなくなるリスクがあるため、アップデートへの対応は不可欠です。

  • 軽微な対応:1回あたり数千〜数万円。OSの仕様変更が小規模な場合は、比較的安価に対応できます。
  • 大規模な改修:1回あたり数十万円。OSのメジャーアップデートで大きな仕様変更があった場合、大規模な改修が必要になることがあり、その分費用がかかります。

アップデートの頻度や規模によって費用は大きく異なります。

【項目⑥】バグの修正費用

バグは、アプリの運用中にどうしても発生するものです。ユーザーからのフィードバックや、アプリのログから発見されるバグに対処するため、エンジニアが修正作業を行います。

  • 軽微なバグ修正:1回あたり数千円〜数万円程度。小さなバグであれば、短時間で修正可能です。
  • 重大なバグ修正:1回あたり数十万円程度。アプリ全体に影響を与える重大なバグの場合、修正に時間がかかるためコストも高くなります。

バグ対応は突発的に発生するため、余裕を持って予算を決めておくとよいでしょう。

【項目⑦】機能の追加・改善費用

アプリはリリース後も、ユーザーのフィードバックや市場の変化に応じて、機能を追加・改善する必要があります。新機能を導入することで、ユーザーのエンゲージメントを高め、競合アプリとの差別化が図れます。

  • 小規模な機能追加:1回あたり5〜20万円程度。簡単なUIの改善や、小さな機能追加の場合は比較的安価に対応できます。
  • 大規模な機能追加:1回あたり数十万円〜数百万円程度。新しい機能を一から設計・開発する場合、その内容によっては大きなコストがかかります。

やや古いデータではありますが、2018年の日経 xTECHの調査によれば、プロジェクトでコストが予算を超過した場合の60%以上が「追加開発」が原因となっています。

出典:【日経 xTECH】システム開発はなぜ予算オーバーに陥るのか

修正や追加開発にかかる費用は内容によって異なりますが、大規模な修正の場合、100万円以上かかることもあり得ます。そのため、注意が必要です。

したがって、修正や追加開発を見越して、開発予算をあらかじめ確保しておくことは非常に重要です。

【項目⑧】コンテンツ更新費用

アプリ内のコンテンツを頻繁に更新することで、ユーザーが飽きずに利用し続けられるようになります。特にニュースやEコマース、ゲームアプリでは、コンテンツの更新が必要不可欠です。

ニュースアプリやメディアアプリの場合、頻繁な更新が必要になるため、できる限り内製化できるシステム設計にしておくことをおすすめしています。

運用保守の費用を削減する2つの方法

運用保守の費用を削減する2つの方法

【方法①】ノーコード開発を利用する

従来の開発とノーコード開発の費用の比較
従来の開発とノーコード開発の費用の比較と内訳

ノーコード開発とは「プログラムを書かずにWebサイトやアプリを作成できる画期的なサービスを用いた開発手法」のことを指します。

ノーコードを活用してアプリを作成することで、

  1. 開発費用を50%以上削減
  2. 開発期間を50%以上短縮
  3. 高度な機能を持つアプリの開発

のようなメリットがあるのですが、実は運用保守コストまで削減することが可能です。

ノーコードで開発したアプリであれば、簡単なメンテナンスは非エンジニアが行えるため、運用保守の大部分を内製化することができます。

アプリの約80%はノーコードツールを使っても問題なく開発できます。したがって、開発費・運用保守費を抑えたいという方はノーコード開発を検討することをおすすめします。

»関連記事:【完全解説】ノーコードとは?デメリットや限界、アプリ事例まで徹底解説!

【方法②】Webアプリとして開発する

iOS/Androidに対応する場合とWebアプリとして運用する場合の費用比較
Webアプリにするだけで大幅に費用削減

一般的に、SafariやGoogle ChromeなどのWebブラウザで利用できるものを「Webアプリ」、スマホにインストールして利用するものを「ネイティブアプリ」と呼びます。

Webアプリで開発することによって「アプリストア登録代」や「OSアップデートへの対応費用」を削減できます。

また、多くの企業様はネイティブアプリを希望されますが、そのうちの80%以上は「Webアプリでも十分」だと考えているため、ぜひWebアプリを視野に入れていただければと考えています。

運用保守を行う方法3選

【方法①】自社で行う

自社で運用保守を行う方法は、コストの面でメリットが大きい一方で、社内に十分なリソースとスキルが必要となるため、組織の規模やエンジニアのスキルに応じて適切な対応が求められます。

ノーコード開発を利用することで、多くの運用を自社で行えるようになりデメリットが少なくなるため、非常におすすめです。

自社で行うメリット

  1. コスト削減:外部委託と比較して、外注費用が不要なため、直接的なコストを抑えることができます。特に、運用保守の内容が定期的・ルーチンワークに近いものであれば、自社内での対応の方が効率的です。
  2. 迅速な対応:トラブルが発生した際、社内のエンジニアであればすぐに対応できるため、緊急時の対応が早くなります。外部委託の場合は、契約や手続きを経る必要があるため、対応に時間がかかることがあります。
  3. 情報管理の安全性:運用保守を自社内で行うことで、アプリに関する内部情報が外部に流出するリスクが低くなります。特に、個人情報や機密データを取り扱うアプリの場合、セキュリティ上の安心感が高いです。

自社で行うデメリット

  1. 専門知識の必要性:運用保守には、OSのアップデート対応やセキュリティ対策など専門的な知識が必要です。社内に十分なスキルを持つエンジニアがいない場合、対応が難しい部分が出てきます。
  2. 人件費や教育コスト:運用保守を行うエンジニアを育成・維持するには、人件費やトレーニングコストがかかります。
  3. リソース不足のリスク:アプリの規模が大きくなると、運用保守にかかる工数も増加します。リソース不足に陥ると、定期的なメンテナンスやトラブル対応が追いつかなくなる可能性があり、サービス品質に影響を与えるリスクもあります。

適している企業

自社で運用保守を行う方法は、エンジニアのリソースが豊富にある企業に向いています。また、開発と運用保守を自社で一貫して管理したい、セキュリティ重視の企業にとっても適した方法です。

【方法②】アプリ開発の外注先に運用保守も依頼する

アプリ開発を外部委託している場合に、そのまま開発を担当した会社に運用保守も依頼する方法です。外注先の会社はアプリの構造を深く理解しているため、効率的に運用保守が行えます。

開発の外注先に依頼するメリット

  1. スムーズな対応:開発を担当した外注先であれば、アプリのコードや仕様に詳しいため、バグ修正や機能改善などを迅速に対応できます。新たに説明する手間が省けるのも大きな利点です。
  2. 手間の軽減:開発と運用保守を一貫して依頼できるため、窓口を一本化でき、管理が楽になります。やり取りも一社で完結するため、担当者の負担が減り、業務が効率化されます。
  3. 契約に基づいた安定したサービス:運用保守は長期契約になることが多く、契約内容に基づいて一定水準のサービスを受けられるため、信頼性が高いです。

開発の外注先に依頼するデメリット

  1. コストが高くなる傾向:外注先に長期間の運用保守を依頼する場合、コストが高くなりがちです。特に、専任のチームやサポート体制を整えると、人件費やその他の管理費用が加算されるため、予算管理が重要になります。
  2. 依存度が高くなる:外注先にすべてを依頼することで、企業としてのノウハウが蓄積しにくくなります。外注先の都合や契約更新時にサービス内容が変更されるリスクもあるため、依存度が高い場合は注意が必要です。
  3. 柔軟な対応が難しい場合も:外注先のスケジュールやリソースに依存するため、急な変更や緊急対応が必要な場合に、すぐに対応できないこともあります。契約内容や依頼の範囲に制約が多い場合は、柔軟性に欠けることがあります。

適している企業

社内にエンジニアのリソースがない、もしくは確保が難しい企業や、安定的に高いクオリティの運用保守を求める企業に向いています。

【方法③】必要に応じて外注する

特定の運用保守作業のみを外注する方法です。たとえば、OSのアップデート対応やバグ修正、セキュリティ対応など、特定の業務だけを外部に依頼し、他の業務は社内で対応することで、コストとリソースを最適化することが可能です。

必要に応じて外注するメリット

  1. コストの最適化:必要なときに必要なサービスだけを外注することで、コストを抑えられます。定期的な運用は社内で行い、専門的な技術や作業が必要な部分のみを外注することで、コストの無駄を削減できます。
  2. 専門性の高い対応が可能:特定の作業のみを専門業者に依頼するため、必要に応じて高度なスキルを持つエンジニアに対応してもらうことができます。例えば、セキュリティ対策やOSアップデートに特化した業者に依頼することで、より安全で確実な対応が可能です。
  3. 柔軟な体制:外注先を必要に応じて選べるため、業務内容やプロジェクトの進捗に応じた柔軟な体制を組むことができます。必要に応じて複数の外注先を使い分けることも可能です。

必要に応じて外注するデメリット

  1. 管理が煩雑になる:複数の外注先に業務を分散して依頼する場合、それぞれの業者の進捗管理や連絡、調整が必要になり、管理業務が増える傾向があります。また、各外注先に対して業務内容を逐一説明しなければならないため、担当者の負担が増えることもあります。
  2. 対応に一貫性が欠ける可能性:異なる外注先に作業を依頼すると、対応や品質にばらつきが生じる可能性があります。また、外注先が変わるときには、引き継ぎや知識共有が必要になるため、その点でリスクが伴います。
  3. 緊急時の対応が難しいことも:必要なときにサービスを依頼する体制
  4. の場合、急なトラブルやバグ対応が求められる際に、すぐに対応できないケースもあります。依頼する作業ごとにスケジュール調整が必要になるため、即応性に欠けることもあります。

適している企業

運用保守の一部を自社で行い、専門的な部分のみを外部に委託したい企業に向いています。また、アプリの機能追加や大規模な保守が頻繁に発生しない企業や、コストを抑えつつ必要なサービスを適宜利用したい企業に適しています。


Walkersでは成果が実証されたノウハウをもとに、事業を成功に導くためのアプリ開発支援を行っています。新規事業・アプリ開発でお悩みがある方はお気軽にご相談下さい。

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