ノーコード開発の進化により、アプリ制作はもはや専門的なスキルがなくても実現できる時代になりました。
中でも、業務効率化や社内ツール開発を手軽に行いたい人たちの間で注目を集めているのが「Glide(グライド)」です。
Glideは、GoogleスプレッドシートやExcelのデータをもとに、プログラミング不要でスマホ向けアプリを構築できるノーコードツールです。
ブラウザ上で直感的に操作でき、数時間で在庫管理や勤怠管理、社内ポータルといった業務アプリを完成させることができます。作成したアプリはインストール不要のPWAとして動作し、URLやQRコードを共有するだけで誰でも利用可能です。
また、2025年現在のGlideはAI連携や外部サービス統合にも対応しており、社内業務の自動化やデータ連携を強化したい企業にも最適です。一方で、複雑なBtoCアプリや高度な機能を要する開発には不向きな面もありますが、「スプレッドシートから手軽に業務アプリを作りたい」というニーズには最もフィットするノーコードツールといえるでしょう。
この記事では、Glideの特徴やメリット・デメリット、料金体系、基本的な使い方まで、初めての方にもわかりやすく解説します。社内向けのモバイルアプリをノーコードで開発したいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
Walkersでは「最小限のコストでプロダクトを立ち上げたい」「アイデアをすぐに形にしたい」企業さまに、事業を成功に導くノーコードを用いた開発支援を行っています。
⇒ノーコードによる開発支援サービスの概要はこちら

執筆者:山口 鳳汰
ノーコード開発専門メディア「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。
その他、受託開発や教育など多数のノーコード事業に参画している。

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
マーケティングやUI/UXと掛け合わせたサービス開発を得意としている。

執筆者:山口 鳳汰
「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
これまでに300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
Glide(グライド)とは?
Glide(グライド)とは、プログラミング知識がなくてもスプレッドシートのデータを活用して本格的なウェブアプリを作成できるノーコードツールです。
スマートフォンやタブレットで利用する社内向けアプリの開発に適しており、ExcelやGoogleスプレッドシートをデータベース代わりに用いて直感的にアプリを構築できます 。
Glideで構築できるのはブラウザ上で動作するPWA(プログレッシブ・ウェブ・アプリ)であり、ネイティブアプリのように端末にインストールせずに利用可能です。
そのため、App StoreやGoogle Playストアといった公式マーケットに直接公開することはできませんが、WebリンクやQRコード経由でユーザーに配布できます 。
GlideはAI連携や外部サービス統合など機能面が充実し、企業の業務改善ツールから教育機関・コミュニティでの活用まで幅広く導入されています。
特にGoogleスプレッドシートとの強力な連携を活かし、在庫管理や社員ポータルなど内部業務アプリを迅速に開発したい場合に最適なプラットフォームと言えるでしょう。
一方で、高度にカスタマイズされたBtoC向けサービスや複雑な機能を要するアプリには向かない面もあり、その場合は他のツール検討も必要です。
総じてGlideは「素早く安くシンプルなアプリを作りたい」というニーズに応えるノーコードツールとして高い評価を得ています。
Glideの4つの特徴
Glideが多くのユーザーに支持されている主な特徴を4つ紹介します。

【特徴①】スプレッドシート等との容易なデータ連携

ExcelやGoogleスプレッドシートなど既存の表データをそのままアプリのデータベースとして利用可能なのがGlide最大の特徴です。
特別なデータベース知識がなくても、シートを接続するだけでアプリの内容に反映できるため、社内に蓄積したデータを活用して迅速にアプリ開発を始められます。
AirtableやBigQueryなど複数のデータソースにも対応しており、用途に応じて柔軟にデータ連携できる点が優れています
【特徴②】豊富なテンプレートと直感的なUI設計

Glideではあらかじめ用意された多数のテンプレートからプロジェクトを開始でき、目的別に洗練されたデザインのひな形を選べます。
コピーしたテンプレートは自由にカスタマイズ可能で、ドラッグ&ドロップ中心の直感的な画面エディタにより、リスト表示やカレンダー表示など豊富なコンポーネントを組み合わせてレイアウト調整ができます。
専門知識がなくても操作しやすいシンプルな設計のため、ノーコードツール初心者でも迷わず美しいアプリUIを構築できるでしょう。
【特徴③】リアルタイム同期とPWAによるマルチデバイス対応

Glideで作成したアプリはデータの変更がリアルタイムに反映されるため、例えばGoogleシート上の値を更新すると即座にアプリ利用者の画面にも更新内容が反映されます。
チームで同じアプリを使う業務シーンでも、最新の情報を常に共有可能です。
また、生成されるアプリはPWA対応のウェブアプリなので、スマホからPCまでブラウザ経由でマルチデバイスに対応します。
ホーム画面に追加してネイティブアプリのように使うこともでき、インストール不要で社内メンバーに配布・利用してもらいやすいメリットがあります。
【特徴④】Glide AIによるデータ自動処理などのAI機能

GlideはAI機能を搭載している点も見逃せません。
Glideでは、アプリの基本的な構築もAIで行うことができます。
上記画像でもあるように、チャットは日本語にも対応しており、日本語でのAIチャットを通じて構築したアプリの表示内容は必然と日本語になります。
AIとのチャットだけで、作りたいアプリの構築の大部分を終えることができるのは、Glideの大きな強みです。
また、内蔵の「Glide AI」を使えば、アプリに以下のようなスマート機能を追加できます。
たとえば録音データから自動文字起こし、画像内文字の抽出、PDFやExcelファイルの内容要約、入力データに基づく文章自動生成など、人力では手間のかかる処理をAIが自動で行ってくれます。
高度なAI機能をプログラミングなしで利用できるため、業務アプリの効率化や高度化に大きく貢献します。
これらの特徴により、Glideはスマホアプリ開発ツールとして、一定の高い評価を得ています。
次の章では、Glideの注意点を解説します。デメリットも理解した上で、最適な開発サービスの利用を検討しましょう。
Glideの4つの注意点
便利なGlideにも、押さえておきたい注意点や制限があります。ここでは代表的なデメリットを4つ解説します。

【注意点①】高度なデザイン・機能カスタマイズの難しさ
Glideは用意されたコンポーネントやレイアウトで手軽に作れる反面、独自の凝ったデザインや特殊な機能の実装には制約があります。
カスタマイズの自由度は比較的低く、テンプレートにないUI要素や複雑なビジネスロジックを実現するのは難しい場合があります。
そのため、一般ユーザー向けの本格的なサービスや高機能アプリを作るには不向きで、必要に応じてBubbleなど他のプラットフォームの利用検討も視野に入れるべきでしょう。
【注意点②】ツール自体が日本語未対応
Glideの開発画面や公式ドキュメント・サポートはすべて英語で提供されています。
そのため英語に不慣れな初心者には操作方法を理解するまでに時間がかかるかもしれません。
ただし、作成したアプリ自体は日本語のデータ入力や表示も可能であり、また有志による日本語解説動画や記事も増えてきているため 、英語環境でも学習意欲があれば大きな障害にはなりません。
【注意点③】ネイティブアプリとして公開できない
前述の通りGlideはウェブアプリ開発ツールであり、作成物はブラウザ経由で配布・利用します。
そのため、iPhoneやAndroid向けのネイティブアプリとして直接ストア公開する機能は備わっていません。
不特定多数のユーザーにアプリ配信したい場合は、PWAとしてURL配布するか、Nativator等のサードパーティサービスでラッピングしてストア公開する必要があります。
ただしラッピングによる公開は動作や品質面で制約があるため、最初からストア公開前提のアプリは他の開発プラットフォームで開発する方が確実です。
【注意点④】無料プランの機能制限とコスト面の注意
Glideは無料のFreeプランから始められますが、無料では公開できるアプリは1つのみ、利用ユーザーも10人までなど利用範囲に大きな制限があります。
本格的に運用するには有料プランへのアップグレードがほぼ必須です。
また、有料プランの料金はノーコード業界の中でもやや高めに設定されています。
特に多数のユーザーが使う公開アプリの場合、ユーザー数やデータ更新回数に応じて追加料金が発生しコストが膨らみやすい点には注意が必要です。
費用対効果を考え、まずは無料枠で試作し、必要に応じて課金というステップを踏むのがおすすめです。
以上のような懸念点はあるものの、Glide自体の機能強化は日々で進んでいるため、言語のハードルや習熟コストはある程度覚悟しつつも、得られるメリットがそれを上回ると判断できれば、Glideは非常に魅力的なツールとなるでしょう。
Glideの料金プラン
Glideには無料プランと用途に応じた複数の有料プランがあります。
ここでは、Glideの主要な料金プラン内容を解説します。
Freeプラン 無料 | Explorerプラン $19/月(年契約) $25/月(月契約) | Makerプラン $49/月(年契約) $60/月(月契約) | Businessプラン $199/月(年契約) $249/月(月契約) | Enterpriseプラン 要問い合わせ | |
---|---|---|---|---|---|
公開できるアプリ数 | 1 | 1 | 3 | 無制限 | 無制限 |
プライベートユーザー(ログイン可能ユーザー) | 10人 | 100人 | 無制限 | 30人 | 無制限 |
外部データソース接続 | Glide Tables / Googleスプレッドシート / Excel / CSV | Glide Tables / Googleスプレッドシート / Excel / CSV | Glide Tables / Googleスプレッドシート(リアルタイム同期) / Excel / CSV | Glide Tables / Googleスプレッドシート(リアルタイム同期) / Excel(リアルタイム同期) / CSV | 全サービス対応 |
行数上限(Big Tables) | 25,000 | 25,000 | 25,000 | 25,000 | カスタム |
ストレージ容量 | 500MB | 10GB | 25GB | 500GB | カスタム |
編集メンバー数 | 2 | 2 | 2 | 10 | カスタム |
API / 外部サービス連携 | 制限あり | 制限あり | 制限あり | ||
サポート | コミュニティ | メール(AIサポート) | メール | メール | 専任サポート |
Glideの使い方
ここではGlideでのアプリ開発の基本的な手順を解説します。

公式サイト右上の「Start for free」というボタンをクリックし、会員登録を行います。
Glideでは、「メールアドレス」または「Googleアカウント」を用いてアカウントを作成することができます。

Glideでのアプリ構築は「ドラッグ&ドロップ」の簡単操作で基本行うことができますが、操作画面の日本語対応がなされていないため、初めてGlideを利用する方にとっては、アプリ構築が難しいと感じるかもしれません。
そのため、会員登録後のトップページに表示される「Introduction to Glide」に表示されている動画にて、アプリの構築方法を学習しましょう。

Glideのアプリ構築方法を学習したら、いよいよアプリの構築を開始します。
トップページに表示されている「New app」をクリックし、一番初めのアプリ構築を始めましょう。
「New app」をクリックすると、アプリタイプの選択と、データの取得方法を設定するポップアップが表示されます。構築したいアプリのタイプと、既に利用しているデータベース(My SQLやGoogleスプレッドシートなど)を選択しましょう。
この記事では、「Blank」というアプリタイプを選択し、一からアプリの構築を行います。

新しいプロジェクトを作成すると、自動的にアプリの構築画面に移動します。
まずは画面上部に表示されてる「Agent」をクリックして、Glide AIを起動します。
その後、画面左下に表示されているテキストボックスに、作りたいアプリの概要を入力します。
入力は、日本語にも対応しており、日本語で入力・送信することで、以後のAIとのチャットを日本語で行うことができます。(チャットや実際のアプリの表示内容は日本語になりますが、構築画面自体は英語表示のままとなります。)
AI機能を利用することにより、基本的な機能の構築が完了します。
もし足りない機能がある場合には、AIとのチャットを続け、必要な機能の構築を進めましょう。
この記事では、以下の概要をAIに送付します。
1. 基本機能(従業員が操作する画面)
・出勤、退勤、休憩入り、休憩戻りの打刻操作ができる
・スマートフォンやタブレットから直感的に操作できるUI
・ボタンはシンプルで押しやすいサイズ・レイアウトにする
2. 出勤状況の一覧表示(管理者・他従業員向け)
・全従業員のステータス(出勤中/休憩中/未出勤/退勤済)を一覧で表示
・ステータスごとに色分けまたはアイコンで視認性を高める
・部署・役職・名前などで絞り込みができる
・リアルタイムで更新される設計にする
3. マイページ(従業員本人用)
・自分の過去の出勤記録を日別・月別に確認できる
・総勤務時間、休憩時間、出勤日数などを表示
・グラフ化して統計表示する
4. 管理者設定画面
・新規従業員の登録(氏名、部署、役職、初期パスワードなど)
・従業員情報の編集・削除
・部署・役職などのマスターデータも管理可能にする
5. 権限管理
・管理者は全従業員の情報を閲覧・管理できる
・一般従業員は自分の情報のみを閲覧・操作できる

AIでのアプリ構築が完了したら、画面上部の「Layout」をクリックし、手動でのアプリの構築画面を開きます。
画面左の「Components」と言う欄に表示されている「+(プラス)ボタン」をクリックし、必要な機能の追加を行います。機能の追加は「ドラッグ&ドロップ」で行うことができます。
既存機能の修正は、画面中央のアプリプレビュー画面の特定の機能を押して、画面右の詳細設定画面から行います。文章の修正等もこの画面右の画面から行うことができます。

構築が完了したら、いよいよアプリの公開を行います。
画面右上の「Share」をクリックし、アプリの公開を行いましょう。
以上の流れで、Glideを使ったノーコードアプリ開発を進めることができます。
まずはFreeプランで小さなアプリ開発から試し、慣れてきたら業務に役立つ機能を盛り込んだアプリへと発展させていきましょう。
Glideは、スプレッドシートを活用して誰でも手軽に業務アプリを作れるノーコード開発ツールです。
データ連携の容易さやAI機能、直感的なUI設計など、非エンジニアでも短期間で実用的なアプリを構築できる点が最大の魅力と言えるでしょう。
一方で、ネイティブアプリとしての公開や高度なカスタマイズには限界があり、用途によっては他ツールとの併用を検討すべき場合もあります。
それでも、社内ツールや在庫・勤怠管理など「まずはスプレッドシートで始めたい」ケースでは、Glideは最適解となるでしょう。
ノーコード市場の中でもGlideは日々進化を続けており、AI連携やデータベース拡張などのアップデートも活発です。
“最小限のリソースで最大限の成果を出したい”
そんな人や企業にとって、Glideは非常に強力な味方です。
まずは無料プランでGlideでの開発を体験してみてください。
きっと、「スプレッドシートからアプリが生まれる」その瞬間に、ノーコード開発の可能性を実感できるはずです。
Glide(グライド)の解説は以上です。この情報がGlideへの理解を深める助けになれば幸いです。
弊社Walkersでは「最小限のコストでプロダクトを立ち上げたい」「アイデアをすぐに形にしたい」企業さまに、ノーコードツールを活用した開発支援サービスを提供しています。プロダクト開発・AI活用にお悩みがある方はお気軽にご相談下さい。
⇒ノーコードによる開発支援サービスの概要はこちら