ノーコードツールの進化により、データベース構築は“専門知識がなくても扱える”時代へと変化しています。従来のように複雑な関数やマクロを駆使する必要はなく、誰でも直感的に業務データを整理・共有できるようになりました。
その中でも特に注目を集めているのが、クラウド型データベースツール「Airtable(エアテーブル)」です。
見た目はExcelやGoogleスプレッドシートのような表形式でありながら、裏では本格的なデータベースとして機能。顧客管理やプロジェクト管理、在庫管理など、あらゆる業務をノーコードでアプリ化できます。
ドラッグ&ドロップ操作でレイアウトを整えたり、テーブル同士をリンクさせてデータを一元化したりと、まるでレゴブロックを組み立てるようにシステムを構築できるのが魅力となっています。
データの「整理・共有・自動化」を同時に実現できるAirtableは、チームの情報管理を次のステージへ導く強力なツールです。
この記事では、Airtableの特徴やメリット・デメリット、料金体系、基本的な使い方まで、初めての方にもわかりやすく解説します。データベースの構築を簡単に行いたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
Walkersでは「最小限のコストでプロダクトを立ち上げたい」「アイデアをすぐに形にしたい」企業さまに、事業を成功に導くノーコードを用いた開発支援を行っています。
⇒ノーコードによる開発支援サービスの概要はこちら

執筆者:山口 鳳汰
ノーコード開発専門メディア「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。
その他、受託開発や教育など多数のノーコード事業に参画している。

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
マーケティングやUI/UXと掛け合わせたサービス開発を得意としている。

執筆者:山口 鳳汰
「Walkersメディア」編集長。
ノーコードの電子書籍を3冊出版し、1冊はAmazonベストセラーを獲得。

運営会社:株式会社Walkers
ノーコード専門の開発会社。
これまでに300件以上の開発/制作実績、200件以上の企業様を支援。
Airtable(エアテーブル)とは?
Airtable(エアテーブル)とは、クラウド上で動作する「ノーコード型のデータベースツール」です。
外見はExcelやGoogleスプレッドシートのような表形式ながら、裏では本格的なデータベース機能を備えており、プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップでまるでレゴブロックを組み立てるように業務アプリケーションを構築することができます。
実際、Airtableは顧客管理(CRM)やプロジェクト管理、イベント運営、コンテンツ制作、在庫管理など様々な用途で活用されており、たとえば「顧客リスト」と「商談履歴」という複数のテーブルをリンクさせることで、顧客ごとの契約情報を一瞬で一覧できます。
またExcelやGoogleシートと比べて複数シートの関連付けが簡単で、Notionのように文書中心ではなく構造化データ管理に特化しているのもAirtableの大きな特徴です。
Airtableの4つの特徴
Airtableが世界中で利用されている背景には、様々なAirtableならではの特徴が存在しているからです。
この記事では、Airtableの4つの特徴を解説します。

【特徴①】多様な入力形式・フィールドタイプ

Airtableでは、各列(フィールド)に対して、テキスト・数値・日付など様々なデータ型を指定できます。
さらに、添付ファイル、チェックボックス、ドロップダウンリスト(単一選択/複数選択)、他テーブルへのリンクなど豊富な入力形式が利用可能で、メールアドレスや画像ファイルを格納する専用フィールドも設定できます。
これにより、入力ミスや表記ゆれを防ぎ、誰が入力しても常に整ったデータベースを維持できます。
【特徴②】テーブル間リンク(リレーション機能)機能が搭載

Airtableでは、異なるテーブルのレコード同士を簡単に紐づけられます。
たとえば「顧客テーブル」と「契約履歴テーブル」をリンクすれば、ある顧客に関連する全契約を自動で一覧できます。
従来スプレッドシートで複雑な関数を組んでいた作業も、Airtableなら数回クリックするだけで実現可能です。別テーブルのレコードを検索・追加できる画面にて、シート同士の関係を構築するので、直感的にリレーションを組めるのもAirtableの大きな特徴です。
【特徴③】多彩な表示(ビュー)形式が用意されている

Airtableには、同じデータを目的に応じて様々な角度から見られる「ビュー」機能が搭載されています。
標準のグリッドビュー(表形式)のほか、カンバンビュー(Trelloのようなカード形式)ではタスクの進捗管理、カレンダービューでは日付ベースのスケジュール管理、ギャラリービューでは画像などビジュアルデータを一覧表示など、データ形式に適した様々な形態でデータを表示することができます。
例えばタスク管理で「未着手」「進行中」「完了」をドラッグ&ドロップするカンバン表示ができ、締め切り予定はカレンダーで確認するなど、業務に合わせた柔軟なデータの可視化ができるのがAirtableの特徴です。
【特徴④】オートメーション(自動化)と外部連携が優れている

Airtableは、ZapierやMakeといった自動化ツール、SlackやGoogle Workspace、Salesforceなど多数のサービスと連携することができます。
フォーム入力の登録やレコード更新をトリガーにしてSlack通知やメール送信を自動で行うなど、定型業務をノーコードで効率化できます。
またリアルタイム共同編集にも対応しており、複数人で同時に同じベースを編集できるほか、誰がいつ何を更新したか履歴から追跡・復元できます。
これにより、チーム内での情報共有とワークフロー構築がスムーズになります。
これらの特徴により、Airtableは「スプレッドシートの手軽さ」と「データベースの拡張性」を兼ね備えた唯一無二のツールとなっています。
チームの情報を整理しながら業務を自動化し、誰もが使いやすい形でデータを共有できる点は、他のノーコードツールでは再現しづらい大きな魅力です。
Airtableの4つの注意点
多機能で柔軟に利用できるAirtableですが、利用にあたってはいくつか注意すべき点も存在します。
導入前に以下のデメリットを把握しておくことで、より効果的に活用できるでしょう。

【注意点①】日本語サポートの不足している

Airtable本体の操作画面は日本語に対応していますが、公式ドキュメントやヘルプの多くは英語です。
特に高度なFormulaやAutomationの使い方を学ぶ際には英語情報を頼る必要があり、英語に慣れていないと学習に苦労する可能性が非常にあります。
日本語の解説資料は増えつつありますが、最新機能の情報を得るには英語のリソースに頼らざるを得ない場面も多く、日本語能力のみで使いこなすことができないのがAirtableの注意点です。
【注意点②】大規模データでのパフォーマンスに問題

クラウド型サービスということである程度の許容は必要ですが、レコード数が極端に増えると動作が遅くなりやすい点には注意が必要です。
特に何万~何十万件以上のデータや複雑なフィルタ検索を行うと、画面の表示や更新処理が重くなり、操作レスポンスが低下します。
大規模データの管理には専用のデータベース(SQLやBIツールなど)のほうが向いているケースもあるため、扱うデータ内容によってAirtableを利用するか判断しましょう。
【注意点③】分析・計算機能に制限あり

Airtableはデータの集計やグラフ作成など基本的な機能は備えていますが、TableauやPower BIのような高度な分析機能や、Excel VBAのような複雑なマクロ機能は搭載されていません。
Formula機能もフィールド間の単純な計算が中心で、複数テーブルにまたがる高度な集計やバッチ処理には向いておらず、本格的なデータ分析が必要な場合は、Airtableからデータをエクスポートして専門ツールで分析する使い分けが必要です。
このように、Airtableのみで高度なデータ分析まで完結できない点は注意が必要です。
【注意点④】テンプレートや学習のハードルが高い

Airtableには業種別テンプレートが多数用意されていますが、初めて利用する方にとってはテンプレートの構造や操作手順の理解に時間がかかることがあります。
特に既存テンプレートをそのまま使う場合、その設計思想を理解せずに編集を始めると戸惑うことが多いようです。そのため、導入時にはテンプレートの内容を丁寧に読み込み、必要に応じてマニュアルを用意するなど工夫が必要です。
思い立った際に即座に最大限のパフォーマンスを発揮できず、ある程度の学習が必要な点はAirtableを利用する上で注意が必要です。
以上の特徴とデメリットを踏まえ、Airtableはスプレッドシート以上の情報整理やチームでの共同作業、自動化を必要とする業務に向いています。その反面、膨大なデータ処理や高度な分析を重視する用途には別ツールとの併用が現実的です。
Airtableは使いやすさと柔軟性を兼ね備える一方で、用途に応じた適材適所のツール選択が重要といえるでしょう。
Airtableの料金プラン
Airtableには合計4つの料金プランが用意されています。
それぞれのプランの特徴を解説します。
Freeプラン 無料 | Teamプラン $20/月(年契約) $24/月(月契約) | Businessプラン $45/月(年契約) $54/月(月契約) | Enterprise Scaleプラン 要問い合わせ | |
---|---|---|---|---|
付与されるAIクレジット | 500 | 15,000 | 20,000 | 25,000 |
作成できるデータベース数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
1データベースあたりの最大行(レコード)数 | 1,000 | 50,000 | 125,000 | 500,000 |
共同編集者 | 5人 | 5人 拡張可能 | 5人 拡張可能 | 5人 拡張可能 |
1データベースあたりの容量 | 1GB | 20GB | 100GB | 1,00GB |
自動化処理 | 100回まで | 25,000回まで | 100,000回まで | 500,000回まで |
色/書式/カレンダーのカスタマイズオプション | ||||
双方向同期 | ||||
バックアップ期間 | 2週間 | 1年間 | 2年間 | 3年間 拡張可能 |
Airtableは無料で利用することもできますが、レコード数が最大1,000とかなり限られているため、データベースとしての運用は現実的ではありません。
本番環境での運用を行いたい場合には、よほど小規模なシステムでない限り、有料プランの契約が必須となるため注意しましょう。
またAirtableには、アプリの作成やデータ分析をAIにて行う機能が搭載されています。
このAI機能を利用するためのクレジットは、プランによって付与数が異なるため、AI機能の利用頻度によってもプラン選定を行う必要があります。
Airtableの使い方
Airtableを利用する基本的な流れを解説します。

公式サイト右上に表示されている「Sign up for free」をクリックし、会員登録を行います。

会員登録が完了すると、アンケート画面が表示されます。
AirtableにはAI機能が搭載されており、このアンケートに入力した内容をもとに今後テンプレートの提案をしてくれるため、誤りのないように入力を行いましょう。

アンケートの回答が完了すると、早速AI機能がテンプレートの紹介をしてくれます。
表示されたテンプレート一覧の中に、適しているテンプレートがあれば選択し、AIとの構築を進めましょう。
表示された選択肢の中に最適なテンプレートがなければ、画面下のテキストボックスに「構築したいアプリの内容」を入力し、AIとともに一から構築を開始しましょう。

AIとのチャットを行うことにより、データベースとアプリの大部分が完成します。
AIとのチャットを繰り返し行い、データベースやアプリの調整を行いましょう。
データベースの構造は、画面上部の「Data」をクリックすることにより確認が行えます。

データベースやアプリの構築が完了したら、公開・共有を必要に応じて行います。
画面上部の「Launch」や「Share」をクリックして、公開・共有を行いましょう。
Airtableは「スプレッドシートのように使えるデータベース」を実現したノーコードツールです。
コードを書かずに業務データを整理・共有・自動化でき、チーム全体の生産性を高めることができます。
一方で、英語ドキュメント中心のサポートや、大規模データでのパフォーマンス低下といった注意点もあるため、本記事の内容を参考にしながら、自社の業務規模や目的に合わせた使い方を検討してみてください。
「スプレッドシート以上の柔軟性で、業務データを賢く管理したい。」
そんな方にとって、Airtableは最適な選択肢となるでしょう。
Airtable(エアテーブル)の解説は以上です。この情報がAirtableへの理解を深める助けになれば幸いです。
弊社Walkersでは「最小限のコストでプロダクトを立ち上げたい」「アイデアをすぐに形にしたい」企業さまに、ノーコードツールを活用した開発支援サービスを提供しています。プロダクト開発・AI活用にお悩みがある方はお気軽にご相談下さい。
⇒ノーコードによる開発支援サービスの概要はこちら