Amazon SageMaker Canvas(アマゾン セージメーカー キャンバス)とは「AWSが提供する、画面操作だけで機械学習モデルの構築から予測までを行えるノーコードのAIサービス」です。
表形式のデータを取り込んで予測したい列を指定すると、複数のモデルを自動で学習して最適なものを選び、予測の根拠となる項目の重要度まで確認できます。
すでにAWSを使っている企業や、社内データで解約予測・需要予測を試したい担当者に向いています。料金は使った分だけの従量課金で、2か月間の無料利用枠があります。
この記事では、AWSが提供する、コードを書かずに機械学習モデルを構築・予測できるノーコードAIツール「Amazon SageMaker Canvas(アマゾン セージメーカー キャンバス)」について詳しく解説します。Amazon SageMaker Canvasの特徴や料金プラン、具体的な使い方まで網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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Amazon SageMaker Canvas(アマゾン セージメーカー キャンバス)とは?

Amazon SageMaker Canvas(アマゾン セージメーカー キャンバス)は、Amazon Web Services(AWS)が提供する機械学習サービス「Amazon SageMaker AI」の中の、ノーコードで使える機能です。データの準備からモデルの構築、評価、デプロイまでを、コードを書かずに画面上で進められます。
公式ドキュメントでは、顧客の解約予測、在庫の効率的な計画、価格と収益の最適化、納期内納品率の改善、テキストや画像の分類、文書からの情報抽出といった用途が挙げられています。たとえば、過去の配送記録から「この注文は期日までに届くか」を予測する、といった使い方です。
特徴は、AWSのデータ基盤やセキュリティ設定の上でノーコードの機械学習ができる点です。Amazon S3やAthena、Redshift、Snowflakeなど50以上のデータソースから直接データを取り込み、作ったモデルをAWS上でそのまま運用できます。
- S3やデータベースからデータを取り込み、画面上で加工する
- 予測したい列を指定すると、複数のモデルを自動で学習して最適なものを選ぶ
- 精度や項目ごとの重要度を確認し、条件を変えたときの予測(What-if分析)を試す
- ワンクリックで本番環境に配置し、リアルタイムまたは一括で予測する
Canvasには、自分のデータでモデルを作る「カスタムモデル」に加え、Amazon RekognitionやComprehend、Textractといった既存のAIサービスを使う「Ready-to-useモデル」があります。言語検出や文書分析など、モデルを作らなくても始められる用途はこちらで対応できます。
加えて、AWSの生成AIアシスタント「Amazon Q Developer」がCanvasの中で使えるようになっており、業務上の課題を自然言語で伝えると、データ準備からモデル構築までの進め方をチャットで案内してくれます。この記事では、カスタムモデルを中心に、料金の考え方と始め方まで解説します。
Amazon SageMaker Canvas 4つの特徴とは?

【特徴①】AutoMLで複数のモデルを自動で試し、最適なものを選べる

SageMaker Canvasは、予測したい列(ターゲット)を指定するだけで、複数のアルゴリズムでモデルを学習し、最も精度の高いものを選びます。公式ドキュメントによると、データセットの情報から最大250のモデルを構築して最適なモデルを選択します。
従来は、どのアルゴリズムを使うか、パラメータをどう調整するかをデータサイエンティストが試行錯誤していました。Canvasでは、この探索を自動化し、結果をリーダーボードとして表示するため、専門家でなくても比較と選択ができます。
たとえば、会員データに「解約したかどうか」の列を付けて取り込み、その列をターゲットに指定すると、Canvasが自動で「2カテゴリ予測」というモデルタイプを推奨します。あとは構築を開始するだけで、学習と評価まで進みます。
対応するモデルタイプは、数値予測(回帰)、2カテゴリと3カテゴリ以上の予測(分類)、時系列予測、画像予測(画像分類)、テキスト予測(テキスト分類)です。さらに、基盤モデルのファインチューニングにも対応しています。
構築には、短時間で試せる「クイックビルド」と、精度を優先する「標準ビルド」があります。公式ドキュメントでは、表形式データのクイックビルドは2〜20分、標準ビルドは2〜4時間が目安とされており、まずクイックビルドで感触を確かめる進め方が現実的です。
【特徴②】データの取り込みと加工を画面上で進められる

50以上のデータソースからデータを取り込み、300以上の組み込みの分析・変換機能で加工できます。データを整える作業を別のツールで行わずに、Canvasの中で完結させられる設計です。
モデルの精度は、学習に使うデータの質に大きく左右されます。欠損値の処理や列の結合、日付の変換といった前処理が、モデル構築と同じ画面でできれば、試行錯誤のたびにファイルを出し入れする手間が減ります。
公式サイトでは、Amazon S3、Athena、Redshift、Snowflake、Databricksなどからのインポートと、ローコード/ノーコードの画面でデータパイプラインを組み立てる機能が案内されています。データ準備機能はSageMakerのData Wranglerの技術を使っています。
データの規模については、公式料金ページによると、5GBまでのデータ処理はワークスペースの利用料金に含まれ、追加料金はかかりません。5GBを超えるデータでは、Amazon EMR Serverlessという自動で拡張する仕組みが使われ、処理量に応じた料金が発生します。
ただし、データ準備機能を使うには、IT管理者がCanvasの設定で「データの準備」の権限を有効にしている必要があります。利用者の権限は管理者が細かく制御する設計のため、使いたい機能が見当たらない場合は、まず設定を確認しましょう。
【特徴③】予測の根拠を確認し、条件を変えて試せる

学習したモデルについて、精度の指標に加えて、どの項目が予測に影響したか(特徴量の重要度)と、モデルの説明を画面で確認できます。「なぜその予測になったのか」を示せるため、予測結果を社内の判断に使いやすくなります。
たとえば、解約予測で「直近の問い合わせ回数」の重要度が高いとわかれば、問い合わせが増えた顧客へのフォローという施策につながります。数字だけを受け取るより、次に何をすべきかを考えやすくなります。
公式サイトでは、アプリケーション内で対話的に予測を行い、入力値を変えたときに予測がどう変わるかを見るWhat-if分析ができると案内されています。「この顧客の利用頻度が上がったら解約確率はどう変わるか」といった検討に使えます。
生成されたコードの透明性も特徴の一つです。Canvasは学習内容を自動生成されたノートブックとして残すため、データサイエンティストが内容を確認したり、SageMaker Studioでさらにカスタマイズしたりできます。
ただし、重要度が高い項目を変えれば結果が必ず変わるという意味ではありません。重要度は予測との関係の強さを示すもので、原因と結果を証明するものではないため、施策に落とす際は業務の知識と合わせて判断してください。
【特徴④】AWSの基盤の上で共有・運用・ガバナンスができる

作ったモデルはワンクリックでSageMakerのエンドポイントにデプロイでき、リアルタイム予測や、スケジュールに沿った一括予測に使えます。作って終わりではなく、AWS上の業務システムと組み合わせて使い続けるための機能がそろっています。
AWSをすでに使っている企業では、データがS3やRedshiftにあり、権限管理もIAMで行われています。Canvasはその環境の中で動くため、データを外部サービスへ移すことなく、既存のセキュリティ設定のもとで機械学習を試せます。
公式サイトでは、SageMaker Model Registryへの登録によるバージョン管理、ユーザー単位の権限設定、SSOによる認証、Amazon DataZoneとの連携によるガバナンスが案内されています。誰がどのモデルを使っているかを追跡できる仕組みです。
共有の面では、Canvasで作ったモデルをSageMaker Studioのデータサイエンティストと共有したり、逆にデータサイエンティストが作ったモデルをCanvasで使って予測したりできます。予測結果は、Amazon QuickSightのダッシュボードで関係者に共有できます。
導入時には、IT管理者がSageMaker AIドメインを作成し、ユーザーに権限を割り当てる必要があります。利用者だけで始められる個人向けツールと異なり、管理者側の設定が前提になる点は、導入計画に含めておきましょう。
Amazon SageMaker Canvasの料金プラン

SageMaker Canvasの料金は、月額のプランではなく、使った分だけ支払う従量課金です。公式料金ページによると、料金はワークスペースの利用時間、データ処理、カスタムモデルの学習、モデルによる予測、Ready-to-useモデルの利用の5つの要素で決まります。
2026年9月14日に確認した公式料金ページ(英語表記)の主な項目は次のとおりです。金額は米ドルで、AWSのリージョンによって異なる場合があります。
- ワークスペース利用(セッション時間):Canvasにログインしている時間に対して1時間あたり1.9ドル。ログアウトすると課金が止まる。
- データ処理:5GBまでは追加料金なし。5GBを超えるデータはEMR Serverlessの処理量に応じて課金(公式の目安:5〜100GBで0.09〜1.5ドル)。
- カスタムモデルの学習:SageMakerの学習インスタンスの利用時間に応じて課金。公式の目安として、100MB未満のデータで2.3〜9.2ドル、1〜5GBで13.8〜18.8ドル。
- モデルの予測:5GBまでの表形式データの一括予測はCanvas内で追加料金なし。リアルタイム推論は、ホスティングするインスタンスの種類と時間に応じて課金。
- 無料利用枠:2か月間、ワークスペース利用を月160時間まで無料で使える。Ready-to-useモデルの無料枠は、各AIサービスの条件に従う。
公式の料金例では、4人のチームが無料枠内でワークスペースを使い、50MBのデータで数値予測モデルを1つ学習した場合の月額は7.69ドル(学習費用のみ)とされています。無料枠を使い切った後、月40時間の利用と150MBのデータでの学習を行う例では、合計112.72ドルです。
従量課金のため、ログインしたまま放置すると利用時間の料金が積み上がります。公式サイトでは、使っていないときにワークスペースを自動でシャットダウンする設定でコストを抑えられると案内されているため、導入時に設定しておきましょう。
データ量が大きい場合は、学習と予測のたびにEMR ServerlessやSageMakerの計算資源の料金がかかります。まずは5GB以内のデータでクイックビルドを試し、費用の感触をつかんでから本格的な学習に進むのが安全です。最新の料金は公式の料金ページで確認してください。
Amazon SageMaker Canvasの使い方

SageMaker Canvasは、IT管理者が環境を用意したうえで、利用者がブラウザから操作します。ここでは、公式ドキュメントの「開始方法」と「カスタムモデルの仕組み」に沿って、導入から予測までの流れを紹介します。
AWSコンソールでSageMaker AIドメインを作成し、Canvasを使うユーザーと権限を設定します。高速セットアップなら基本機能をすぐに使えます。データ準備、生成AI、モデルデプロイなどの機能は、管理者が権限を有効にした場合に使えます。
SageMaker AIコンソールの「Canvas」からユーザーを選んでアプリケーションを起動します。SageMaker Studio経由や、組織のSSOからもアクセスできます。初回ログイン時に、データを保存する領域が自動で作られます。
S3やデータベース、ローカルのファイルからデータセットをインポートします。予測したい結果の列(例:解約の有無)が含まれていることを確認し、必要に応じてデータ準備機能で欠損や表記の揺れを整えます。
新しいモデルを作成し、データセットとターゲット列を選びます。Canvasがモデルタイプを推奨するので、まずはクイックビルドで構築します。表形式データなら2〜20分程度で結果を確認できます。
構築後の画面で、精度の指標と項目ごとの重要度を確認します。What-if分析で入力値を変えて予測の変化を試し、業務で使えるかを判断します。精度が足りなければ、データを見直して標準ビルドを試します。
新しいデータで単一予測や一括予測を実行します。継続して使う場合は、エンドポイントへのデプロイやスケジュール予測を設定し、結果をQuickSightで共有します。使い終わったらログアウトして課金を止めます。
よくある質問
Amazon SageMaker Canvasとはどのようなツールですか?
AWSが提供する、コードを書かずに機械学習モデルの構築・評価・予測ができるノーコードのサービスです。数値予測、分類、時系列予測、画像・テキストの分類に対応し、AWSのデータ基盤上で運用できます。
Amazon SageMaker Canvasの料金はいくらですか?
従量課金で、ワークスペースの利用時間(1時間1.9ドル)、データ処理、モデルの学習、予測、Ready-to-useモデルの利用量で決まります。2か月間、月160時間までのワークスペース利用が無料です。
AWSの知識がなくても使えますか?
モデルの構築や予測は画面操作で進められますが、最初のドメイン作成や権限設定はIT管理者がAWSコンソールで行う必要があります。利用者と管理者で役割を分けて導入するのが一般的です。
SageMaker Canvasは、AWSにデータがある企業が、そのまま機械学習を試すための入口になるサービスです。
ただし、従量課金のため、ログインしたままの時間や大きなデータでの学習は費用に直結します。
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