EmDash(エムダッシュ)とは「Cloudflareが開発した、AIエージェントから操作できるオープンソースのCMS」です。
プラグインを1つずつ隔離された環境で動かすため、WordPressで起きやすいプラグイン経由の情報漏えいや改ざんを防ぎやすい設計になっています。MCPサーバーを標準で備えており、ClaudeやChatGPTから記事の作成や公開まで任せられます。
本体はMITライセンスで無料のため、WordPressの保守やセキュリティ対策に手間をかけている企業や、AIで更新作業を効率化したい人におすすめできるCMSです。
この記事では、Cloudflareが開発したAI時代のオープンソースCMS「EmDash(エムダッシュ)」について詳しく解説します。EmDashの特徴や料金プラン、具体的な使い方まで網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
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EmDash(エムダッシュ)とは?

EmDash(エムダッシュ)とは、Cloudflareが2026年4月にプレビュー版を公開し、同年9月に安定版「EmDash 1.0」を発表したオープンソースのCMSです。2026年10月18日には、最新版のemdash 1.3.1が公開されています。CMSとは、専門知識がなくてもWebサイトの記事やページを作成・更新できる管理システムのことです。
Cloudflareは自らEmDashを「WordPressの精神的後継」と位置づけています。WordPressのような使い勝手を保ちながら、プラグインの安全性やAIとの連携といった、いまのWebサイト運営で問題になりやすい部分を土台から作り直したCMSです。
EmDashでできることは、主に次のとおりです。
- 記事・固定ページの作成、下書き保存、予約公開、変更履歴の管理
- メディアライブラリ、メニュー、カテゴリやタグの管理
- プラグインによる機能追加(1つずつ隔離された環境で動作)
- ClaudeやChatGPTなどのAIエージェントからのサイト操作
- WordPressからの記事・メディアの取り込み
- 多言語サイトの運用(言語ごとの公開・翻訳管理)
中身はTypeScriptで書かれており、Webサイト構築用のフレームワーク「Astro」の上に作られています。WordPressのコードは一切使っていないため、改変や再配布の自由度が高いMITライセンスで公開されています。
CloudflareのサーバーレスなWorkersだけでなく、Node.jsが動く一般的なサーバーにも設置できます。Cloudflare自身も公式ブログをEmDashへ移行しており、週に数百万ページビュー規模のアクセスを想定して運用しています。
始めるのに必要なのは、Node.js 22.16以上が入ったパソコンだけです。ブラウザで試せる公式プレイグラウンドも用意されているため、インストール前に管理画面を触ってみることもできます。
EmDash 4つの特徴とは?

EmDashには、WordPressをはじめとする従来のCMSと比べて次の4つの特徴があります。
【特徴①】プラグインを隔離して安全に動かせる

EmDashの最大の特徴は、プラグインを1つずつ隔離された環境で動かす仕組みです。Cloudflare上では「Dynamic Workers」という独立した実行環境が、プラグインごとに用意されます。
WordPressでは、プラグインがサイトのデータベースやファイルに制限なくアクセスできます。Cloudflareのブログでは、WordPressサイトのセキュリティ問題の96%がプラグインに由来するという調査結果(Patchstack、2025年)が紹介されています。
EmDashのプラグインは、必要な権限を最初に宣言しなければ何もできません。
- 記事を読むだけのプラグインは、記事を書き換えられない
- 外部と通信する場合は、通信先のドメインを指定する必要がある
- 追加の権限は、サイトの管理者が承認しない限り使えない
インストールする時点で、そのプラグインが何をするのかが分かります。「よく知らないプラグインを入れたら情報が漏れた」という事故を、仕組みの側で防げるのが大きな違いです。
【特徴②】AIエージェントからサイトを操作できる

EmDashは、AIエージェントにサイトの更新作業を任せることを前提に作られています。すべてのサイトにMCPサーバーが標準で組み込まれており、管理画面とほぼ同じ操作をAIから実行できます。
MCPとは、AIが外部のツールやサービスを操作するための共通規格です。公式ドキュメントでは、Claude、ChatGPT、Codex、Cursorなどから接続する手順が案内されています。
AIに任せられる作業は、記事の作成・編集・公開予約、画像のアップロード、メニューやカテゴリの整理、サイト設定の変更などです。コマンドで操作できるCLIや、AIにEmDashの使い方を教える「Agent Skills」も公開されています。
AIの操作範囲は、管理者・編集者・投稿者・寄稿者の4つの権限で制御できます。たとえば寄稿者の権限で接続すれば、AIは下書きまでしか作れず、公開は人が判断する運用にできます。
【特徴③】WordPressからコンテンツを移行できる

EmDashには、WordPressのコンテンツを取り込む機能が最初から備わっています。WordPressの書き出しファイル(WXR)をアップロードするか、専用プラグイン「EmDash Exporter」をWordPress側に入れて連携します。
投稿・固定ページ・カスタム投稿タイプ・カテゴリやタグ・メディア・投稿者が移行の対象です。専用プラグインを使えば、コメントやメニュー、SEO設定も条件付きで引き継げます。
一方で、WordPressのテーマやPHPで作られたプラグインは、そのままでは動きません。デザインと独自機能は作り直しが前提になるため、移行の前に何をどこまで再現するかを整理しておく必要があります。
公式ドキュメントでは、移行前のバックアップ、移行後の件数確認、旧URLからのリダイレクト設定までが手順として示されています。旧サイトはすぐに消さず、問題がないと確認できるまで残しておくよう案内されています。
【特徴④】サーバーレスでも自社サーバーでも動く

EmDashは、設置先を自由に選べるCMSです。Cloudflareで動かす場合は、Workers(プログラムの実行)、D1(データベース)、R2(画像などの保存)を組み合わせて使います。
サーバーレスで動くため、アクセスが急に増えても自動で処理能力が広がります。Cloudflareの公式ブログでは、最大で毎秒5,000リクエストに達するアクセスの急増にも備えた構成で運用していると紹介されています。
Node.jsが動くサーバーなら、Cloudflare以外にも設置できます。データベースはSQLiteのほかPostgreSQLやTurso、画像の保存先はAWS S3なども選べるため、社内の規程で利用できるクラウドが決まっている企業でも導入しやすい構成です。
EmDashの料金プラン

EmDash本体はMITライセンスのオープンソースで、無料で利用できます。商用サイトに使う場合も、ライセンス料はかかりません。
費用がかかるのは、EmDashを設置するサーバー側です。Cloudflareに設置する場合の料金は次のとおりです。
| Workers 無料プラン $0/月 | Workers 有料プラン $5/月から | 自社サーバー サーバー代のみ | |
|---|---|---|---|
| 設置先 | Cloudflare | Cloudflare | Node.jsが動くサーバー |
| EmDash本体 | 無料 | 無料 | 無料 |
| リクエスト数 | 1日10万件まで | 月1,000万件まで込み | サーバー性能による |
| 隔離されたプラグイン | |||
| 商用利用 |
※Cloudflareの料金はドル建てです。有料プランは月額5ドルが最低料金で、込みの量を超えた分は使った量に応じて加算されます。
注意したいのは、プラグインを隔離して動かす「Dynamic Workers」が、Workersの有料プランでしか使えない点です。無料プランでもサイト自体は動きますが、EmDashの最大の特徴である隔離されたプラグインは利用できません。
業務で使うなら、最初から有料プランか自社サーバーを選ぶのが現実的です。プランを選ぶ目安は次のとおりです。
- 個人で試すだけなら、Workersの無料プラン
- プラグインで機能を足していく前提なら、Workersの有料プラン
- 社内規程で設置先が決まっているなら、Node.jsでの自社運用
EmDashの使い方

ここでは、自分のパソコンにEmDashのサイトを作り、記事を公開するまでの流れを紹介します。詳しい手順は公式ドキュメントにまとまっています。
パソコンにNode.jsの22.16以上をインストールします。ターミナルで「node –version」を実行し、v22.16.0以上と表示されれば準備完了です。
ターミナルで「npm create emdash@latest」を実行します。サイトのひな形を作る対話形式のツールが起動します。
プロジェクト名を入力し、設置先(Node.jsかCloudflare)とテンプレートを選びます。テンプレートにはブログ、ランディングページ向けのマーケティング、ポートフォリオなどが用意されています。
作成されたフォルダに移動し、「npm run dev」を実行します。ブラウザで「http://localhost:4321/」を開くと、サイトが表示されます。
「http://localhost:4321/_emdash/admin/」を開くと、初期設定の画面に移ります。サイト名とメールアドレスを入力し、パスワードの代わりにパスキーを登録すれば管理画面に入れます。
管理画面の「Posts」からサンプル記事を開き、タイトルを書き換えて保存します。「Publish changes」を押してからサイトを再読み込みすると、変更が反映されます。
インターネットに公開する場合は、公式ドキュメントのデプロイ手順に沿ってCloudflareかNode.jsのサーバーに設置します。初期設定で作られる暗号化キーは、プラグインの設定情報を読むのに必要なため、必ずバックアップしておきましょう。
よくある質問集
- EmDashとはどのようなツールですか?
-
Cloudflareが開発したオープンソースのCMSです。プラグインを隔離して動かす安全設計と、AIエージェントからサイトを操作できるMCPサーバーを標準で備えています。
- EmDashの料金はいくらですか?
-
EmDash本体はMITライセンスで無料です。費用は設置先で決まり、Cloudflareなら無料プランから使えますが、隔離されたプラグインを使うには月額5ドルからの有料プランが必要です。
- WordPressのテーマやプラグインはそのまま使えますか?
-
そのままでは使えません。記事やメディアは移行機能で取り込めますが、テーマとPHPのプラグインはEmDash向けに作り直す必要があります。
EmDashを検討する第一歩は、公式プレイグラウンドで管理画面を触り、今のサイト運営との違いを確かめることです。
ただし試せることと乗り換えられることの間には、デザインや独自機能の作り直し、AIに任せる範囲の線引きという判断があります。
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